第35回 全国公企研究交流集会

 2018年10月20日-21日

 組合は、滋賀県の大津市で開催された公企評の大会に参加しました。

交通部門には「八戸市営バス労組」「横浜市交通局従業員労組」「北九州市バス労組」そして
「長崎公共交通労組」の4単組が参加参加。

 1日目は作新学院大学名誉教授の「太田 正」氏による講演が

「岐路に立つ地方公営企業」

と題してあり、現在の日本に於ける公営企業の現状と、先行して公営企業の民営化に
取り組んでいた諸外国の「脱民営化」(再公営化)の動きについて、データを基にしたお話がありました。

 諸外国では公営企業の民営化による弊害が大きく取り上げられるようになり、民営にした企業体を公営に戻す動きが出ています。
 しかし日本では民営化に依る弊害が指摘されているにもかかわらず、民営化への道を突き進んでいるのが現状です。

 本来、住民の暮らしを守る為の自治体が、住民の暮らしより自治体の効率化を推し進めています。

 公営企業とは、水道・電気・病院等と、私たち公営バスも含まれます

 2日目は各分科会に分かれて私たちは交通部門の「バス労組」で意見を交わしました。

 特に最近度重なっているバスに依る重大事故に焦点が当てられ、問題点と解決方法が論議されました。

 記憶に新しい事故では、2014年3月3日午前5時過ぎ。仙台市から石川県の加賀温泉に向かう26人乗りの宮城交通(仙台市)の夜行バスがガードレールに衝突を繰り返し、小矢部川サービスエリアに進入してトラックに衝突した事故。
この事故で運転手と乗客の1人が死亡し、24人が重傷を負いました。

 死亡した運転手Aさんは当時37歳。真面目で休息時間に筋トレするなど健康にかなり気を使っていたそうです。
 しかしその勤務状況は12日連続勤務を繰り返し、退勤から出勤まで8時間ギリギリか多く、寝る時間は少なかったのではと思われます。

 こうした状況は県営バスでもそう違わないと思います。
バス運転手の働くルールを定めた厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善の基準」。過労死ライン越えの長時間労働を容認するとして悪名高いものですが、Aさんはこの基準ギリギリで働いており、私たちも似たような環境にあるのは明らかです。

 本来運転手を守る為にあるはずの基準が運転手を過酷な労働に追い込む要因となっています。

私たちも当局との団交で、退勤から出勤までの時間をもっと取るように要求していますが、この基準に沿っているとの理由で却下され続けています。

 今後も組合は、この基準の見直しを強く関係省庁に訴え続け、運転手を守る本来の基準となるよう要請を続けます。